視力が良くても、星のプロでも【星が見えない】意外な理由

視力は良いはずなのに、みんなが見えてる星が見えない。
そんなことはありませんか?

実は、星のプロでもそういったことがあります。
恒星や二重星は見えるけれど、星雲星団銀河が見えたことがない専門家もいます。

なぜそのようなことが起こるのか?
ちょっと仮説とともに紐解いて見たいなって思います。

目次

視力1,5なのに銀河がみえない!

数年前に県内の天文台に行った時のことです。
大きな望遠鏡でいろんな星たちを見せてくれました。

惑星・恒星・それからアンドロメダ銀河。

その天文台の館長さんが「銀河は、見える人・見えない人がいる」と言っていました。
私自身は、視力が良く問題なく見えるだろうと思っていたんですけどね。。。

レンズからのぞく先に自分のイメージしている(写真のような)銀河は、ありませんでした。

(国立天文台より)

本当に見えなかった。びっくりした。

見えたー!って言っている人もいてて、衝撃だったことを覚えています。

アンドロメダ銀河は、郊外なら双眼鏡でも探せる天体。
それから自宅ベランダでアンドロメダ銀河を探す旅に出ました。

しかし、ほんっとみつからない。

アンドロメダ銀河は4等星クラスの明るさを持っていて、そのクラスの恒星は見えている。
それでも銀河だけ分からないのです。

そうしたらある日突然「これかも」というシミのようなモヤのような点を見つけました。何度見ても「そこにある」ことで確信しました。

銀河探しの旅に出てから、2年がたった日の出来事です。

双眼鏡から見るアンドロメダ銀河は、写真で見ているイメージと全然違う。
本当に淡く淡くボヤッとした何かっていう感じ。

それからはアンドロメダ銀河を、ベランダから簡単に見つけることができるようになりました。

どうやら星雲・星団・銀河のようなキラっとしていない、淡い天体が見えるかどうかは、「イメージ」に左右されるようです。
しかもそのイメージは図鑑やネットで見るような写真とは全然違う。

色味はないし、超地味・・・

アンドロメダ銀河は250万光年先の天体。
天の川銀河の片隅の小さな星に住んでいる我々がそんなくっきりはっきりと見えるわけない・・・
自分たちが住んでいる天の川銀河ですら都心部では見えないのだから。

そう考えると、カメラってすごいよね・・

写真のイメージではなく、実際の空で見えるイメージを知っておかないと見えないことがあるのが星たち。
星をみるときは、視力だけではなく「脳」のチカラに左右されているんだなって思います。

先入観のあるなしも大きい気がするな・・・

天の川がカラフルに見えない理由

天の川を見たことがあるでしょうか?
星が綺麗な場所に行くと見える天の川。

(国立天文台より)

私たちが住んでいる天の川銀河の断面が天の川。

写真で見る天の川はカラフル。
それは星たちは温度によって色が変わるからです。
(高温だと白っぽく、低温だと赤っぽく)

だけど、日本で天の川をみるときカラフルに見えることは、ほぼありません。
理由は、人間の目は淡い(弱い)光に対して色を感じない仕組みになっているから。

夜、部屋の電気を消すと周りがモノトーンっぽく(色数が少なく)見えるアレです。

天の川は銀河。淡い天体です。
だから白っぽい淡いモヤのように見えるのです。

世界の中で星空が最も綺麗な場所に行くと、また変わるのかなあ?
知ってる人がいたら教えて欲しいです。

すべては脳のしわざ

心理学にカラーバス効果というものがあります。

あるひとつのことを意識することで、それに関する情報が無意識に自分の手元に集まるようになる効果です。

私が感じたカラーバス効果は妊娠したとき。
電車で通勤していると、マタニティマークをつけた人が意外と多いことに気づきました。

自分が同じ立場になり、意識することによって目に入るようになりました。
これぞカラーバス効果です。

【視覚情報】は、目でみたものを脳で処理してから認識します。
認識するまでの過程で、いろんな補正をします。

この補正の部分は、「みたことがある」「先入観」「意識しているもの」といった視覚とは違うものも加味されます。
これを、天体をみるときには「見える/見えない」の差になって現れることがあります。

銀河・星雲・星団のような淡い天体は、天の川と同じ。
淡く見えづらい天体のため、写真と実際に天体望遠鏡を覗いたときとのギャップが大きです。

(国立天文台より)

写真のようなイメージを考えて、天体望遠鏡をのぞくと「それ」はない為、天体はあるのだけど「ない」って認識されてしまう。
これが視力が良くても見えない原因の一つだと考えられるのです。

逆に、一度でもみた経験のある人は、意識ができるようになるので見えるようになる。
また先入観のない人は、フラットに物を見ることができる為、見えやすいかもしれません。

まとめ

視力が良いのに見えない!というのはプロでもあること。
恥ずかしいことでもありません。

星空を案内する側は、見える人・見えない人がいるということを意識しておく必要があると思います。
自分自身が見えることが当たり前の世界も、人によってはそうではない。

それを知ったときに、相手にどういった対応をすべきか。

そういう部分の配慮ができる人は、とても素敵だなって思います。

それにしても人間の視覚って不思議だし、それを際立たせる存在が地球の外の星たちっていうのが壮大ですね。