真夜中に銀河鉄道を見ました。
暗い夜空を光の点が列をなして走り抜けていきました。
とても不思議な光景でした。
それはスターリンクトレインと呼ばれる衛星の集団です。
これらは、星空を一変させるかもしれない。
そんなお話し。
目次
生活を便利にするスターリンク衛星とは?
アメリカにSpaceX社という企業があります。
ロケットや宇宙船を作っている企業です。
Watch Falcon 9 launch Starlink https://t.co/bJFjLCzWdK https://t.co/o5hVNV11mK
— SpaceX (@SpaceX) June 4, 2020
スペースシャトルが退役したあと、アメリカには有人飛行ができるロケットがありませんでした。
ずっとロシアにお金を払ってソユーズに乗せてもらってた(日本もね)
それを、9年ぶりに復活させたのがSpaceX社。
新しい宇宙船はタッチパネルで近未来感がすごいw
この比較が、時代を物語っています。
(左)スペースシャトル
(右)SpaceXのクルードラゴン
宇宙船もスマホ時代に追いついた、という感じでしょうか。 https://t.co/I3Tfd9smRA— Naoko Yamazaki 山崎直子 (@Astro_Naoko) May 30, 2020
Live views of @AstroBehnken and @Astro_Doug testing manual control of Dragon on approach to @space_station → https://t.co/bJFjLCzWdK pic.twitter.com/bbRQ8uAZ6u
— SpaceX (@SpaceX) May 31, 2020
そんなSpaceX社は、スターリンクという衛星を12,000基打ち上げて「衛星インターネットサービス」を地球上の隅々まで提供しようとしています。
私たちが当たり前のように使っているインターネット回線も、地球規模で言えば整っているのは4割程度。残りの6割が不自由している状態。
そんな問題を解決するのが「スターリンク衛星」なのだそうです。
地球をまわってる人工衛星が9000もないので、1万2千って相当な数よ。。。
リアル銀河鉄道【スターリンクトレイン】
そんなスターリンク衛星は肉眼で見ることができます。
見える理由は、国際宇宙ステーションと同じで太陽の光が反射されるから。
なぜ宇宙にある国際宇宙ステーション(ISS)が地上から肉眼で見えるのか?
スターリンクは60個近い衛星がかたまって移動するので、その様子が銀河鉄道のように見えます。
トレインというか、駆け足ですぎさる長蛇の列のような・・・
薄曇りでも確認できるような明るさでした。
動画で見てもすごいけれど、これをリアルに見た時の衝撃たるや・・・
今朝のスターリンクトレイン❗️
ちょっと見やすく明るさ調整をしてみました。
これなら何機連なっているか数えられそう‼️#スターリンク pic.twitter.com/le1a01mTvC— Taizo (@Taizo1959) June 15, 2020
ちなみに私はスターリンク衛星の情報をTwitterのSpaceStationARさんから得ています。色んな地域版があるので、お近くの地域版をフォローするのが良いと思います。(私は大阪版)
6/16 3:36から、58機のスターリンクトレインが大阪上空を仰角62.9度、-0.4等級で通過します https://t.co/XQRULI9TiN #Starlink #StarlinkTrain pic.twitter.com/P8escoetkm
— SpaceStationAR(大阪版) (@SSAR_Osaka) June 15, 2020
SpaceStationARはアプリもあって、有料版にするとARで詳細を調べやすいです。(国際宇宙ステーションの情報も合わせて分かるよ)
本物の星を見るために月に行く日
スターリンク衛星は、ネットワーク環境を整えるために便利なシステム。
それによって快適になる人が大勢いるのだと思います。
しかし引き換えに失うものもあるかもしれません。
参考
星空の血の雫SPACE SHIP PEQUOD CREW
またStarlinkが打ち上がった。
僕も最初はマスコミの騒ぎすぎくらいに思っていたが、偶然夜空に自分の目で見て、考えが変わった。
これについて、非常に懸念しています。僕の考えはここに:https://t.co/out36DBPLk #NewsPicks https://t.co/7Yjjrb3Qye
— Hiro Ono / 小野雅裕 (@masahiro_ono) June 4, 2020
上記の記事の中で、NASAの技術者である小野さんが「子供たちから宇宙に魅せられる機会を奪うかもしれない可能性」を危惧されていた。
地球の空が12000の2等星で覆い尽くされる…。その想像に僕は寒気がした。2等星より明るい星は全天で88しかない。光害の全くない僻地でも、肉眼で見える星は8600だ。
もちろん、星と同じように、12000基のすべてが常時見えるわけではないが、「いつでも・どこでも」インターネット接続を提供するためには、いつでも・どこからでも一定数の衛星が空に見えている必要がある。
高速道路に迷い込んだ蛍のように、星々はStarlinkに圧倒されるだろう。
これまでだったら、美しい星空を求める人は遠くの島や山に行けばよかった。これからは、地球のどんな僻地に行こうと、Starlinkから逃げられないのである。
(星空の血の雫より)
私たちは国際宇宙ステーションという人工の星を、喜んで見上げてる。
飛行機だって人工の光を放ちながら夜空を舞っている。
実現されるであろう人工流れ星も良いエンタメになると思う。
これらの人工の光たちは、広い夜空の小さな点として見える。虚空に見える小さな営みと叡智を感じる存在だと思ってる。
スターリンク衛星がこれらと違っているのは、夜空という存在自体を変貌させる可能性があるということ。
この衛星群が完成すると、約200基の衛星(即ち、人工星)が常時空に見えると予想されています。(国立天文台HPより)
参考
通信衛星群による天文観測への悪影響についての懸念表明国立天文台
小野さんの話と国立天文台の話を合わせると、2等星が200個増えることになる。しかもただの星じゃない。スーッと動く2等星。都会では普通の星より、スターリンク衛星の方がたくさん見えるかもしれない。それは静かに瞬く星より、スーっと動く星のほうが「当たり前」の空になる可能性があるということ。
日没後、夜明け前の空がきっと一変する。
その光景を見て、子供たちは宇宙に想いを馳せ、科学に興味を持てるのだろうか?
宇宙に輝く本物の星たちと、人工衛星が反射して見える人工の星たち。
その混在した(むしろスターリンクの方が多い?)星空に宇宙へのイマジネーションは広がるのだろうか。
私たちが「本物の星空」を求めて都会から、田舎に出かけるように、未来の子供達は「本物の星空」を見るために月に行く時代が来そうな気がする。
その前に、この問題をSpaceX(あるいは別の会社)が解決するかもだけど。
これだけ人工衛星が飛び交ってたら、天文学の研究への影響はどうなんだろうね。天体望遠鏡の前をめっちゃ横切りまくりそう。
スターリンクトレインが空を横切るのを見ながら、そんな疑問がぶわわわわっと脳内を駆け巡った。
スターリンクトレインの不思議さに圧倒されながら、小野さんの懸念を肌で感じた夜でした。